【レポート】コンサルティング報告:かものはしプロジェクト
SMLでは、2017年6月から11月まで、子どもが売られない世界を作ることを目指している国際NGOである「認定NPO法人かものはしプロジェクト」様へ、ガバナンス改革に関するご支援を行いました。
同会のご了承を得て、支援内容についてご紹介します。
組織と経営者が抱えていた課題
かものはしプロジェクトは、児童買春問題を解決するために2002年に設立され、東南アジアで当時被害が深刻であったカンボジアを拠点に事業を開始した団体です。その後の事業展開を経て、今日はカンボジア事業の自立が近づき、またインドでの事業が拡大しています。
インド事業は、現地のNGOを含めた多くの団体と連携して進めていますが、物理的な距離と事業スピードの速さ、関わる人々の範囲の広がりから、日本事務所スタッフとインド事業に直接関わるスタッフとの間、および理事会と事務局との間で、ギャップが生まれつつありました。
特に理事会と事務局の関係は、組織ガバナンスにも関わり、理事自身にとっても役割再定義の必要性を感じていましたし、事務局にとっても事業品質とリスク管理などの観点から、対応が必要となっていました。
SMLが協力してプロジェクト実施
そこで当会が協力し、ガバナンス改革を中心にコンサルティング・プロジェクトを開始しました。ガバナンスについては、事業の状況と法人制度に基づく関係者の責任を認識した上で、経営者としての意思を明確にすることが重要です。
プロジェクト前半では日本事務所のスタッフ及び理事へのインタビューやワークショップを行うとともに他団体や制度の調査を実施しました。開始当初は、組織内部でのファシリテーションと制度設計をアウトプットとしていました。そしてプロジェクトが進み、経営者への伴走を行うことがガバナンス改革に最も効果的であるとの共通認識が生まれました。そこで後半は、本木共同代表との定期的なディスカッションを持つ形で、ガバナンスを中心に具体的な改革実行の支援を行いました。
経営者への伴走は、SMLの特徴の一つです。SMLのメンバーそれぞれがタイプの異なる団体で経営者としての経験を持っており、ガバナンスに取り組んだ当プロジェクトにおいても、形式的な部分に止まらず、ガバナンスに大きな影響を与えるリーダーシップのあり方まで含めて、ご支援をさせていただきました。
プロジェクト実施後、理事会との関係性も良くなり、事業の進行スタイルも明確になった、組織内部にどのように落としていくかが今後の課題、と伝えられています。日本を代表するNGOの一つであるかものはしプロジェクトが、これからより大きな成果を出していくための一助となったとすれば、SMLとしても嬉しく思います。
本木共同代表からのコメント
「最初に組織全体にインタビューをしていただいて、リーダーシップの状況を把握していただきました。組織のデリケートな部分、仕組みに現れない問題点まで踏み込んでもらえたのがとても有意義でした。ガバナンス改革は組織内に経験値がなく外部のサポートが必須でしたが、リーダーシップを含めて一緒に取り組んでもらえたのは、SMLの価値だと思います。」