【ブログ】共同創業者からのご挨拶~吉山昌
みなさま、初めまして。ソーシャルマネジメント合同会社(以下、SML)の吉山です。
私は普段、日本国内での難民保護と受け入れを進める2つのNGOの経営に携わっています。SMLの中では(収益事業が少ないという意味で)最もnon profit色が強いメンバーで、このブログではその観点からの記事が多くなると考えています。
~市場による解決?市場の失敗?~
非営利か営利かという区分は、社会的課題に取り組むにあたって意味をなしません。いつの時代においても、課題に対する解を自ら絞る必要はありません。何をイシューとしているかによって区分するのが適切です。「外国人の社会統合」とか、「地域経済の活性化」など。こういったイシューにおいて営利組織の役割が大きいことは、いうまでもありません。
今日、経済において「価値」がますます重視されていることから、市場性を実現しながら社会的価値を生み出せる領域がさらに広がっています。市場参加者自身によって、市場の失敗を乗り越えようとしていると言えます。SMLの生み出す成果の大部分も、おそらく同時に、経済的利益を生み出すものとなるでしょう。
ただ、依然として市場の失敗を乗り越えられていないイシューが、多くあります。困窮者への緊急支援や、多様な人々の権利などは、その一つでしょう。これらは、緊急的にはフィランソロピー的に収益性を劣後させて取り組まざるを得ず、その後は制度的に対応することが必要です。私の扱うイシュー=「難民保護」=の一部も、そういったアプローチが必要な領域です。ある領域では営利企業とwin-winの関係を生み出すべく事業を進めつつも、大部分では寄付を元に財政を成立させています。
私は元々のバックグラウンドは完全に営利であり、今は”対極”で活動しているわけで、SMLにおいてもこの幅を元に、取り組んでいきたいと考えています。
~特に、従業員の幸福を重視したい~
さて、SMLは「マネジメント」を打ち出していますので、この記事でも組織にフォーカスします。
個々の組織をミクロに見た場合、イシューベースか、ケイパビリティベースか、大きく分けて2種類のあり方があります(先日SMLのメンバーと、個人のキャリアに関して同様の議論をしました)。私の関わる組織でも、前者(難民に関わる課題全般を扱う)と後者(起業支援/マイクロファイナンスで支える)の双方があります。
多くのNGOのメンタリティはイシューベースかつ経済性を劣後させるものですが(※ かなり乱暴な整理です)、得てして問題の大きさに対してリソースの限界が露呈します。現実的には、優先順位をつけてリソースを活用していく、またクラスター内で役割を適切に分担することにはなるのですが、ここでSMLが主張する「Triple Bottom Line」の一つである「従業員の幸福価値」への意識が後回しになり、結果として生み出す価値を制約してしまっているケースが散見されます。従業員の現在のパフォーマンスに相当依存しますし、疲弊もします。
もちろん、NGOスタッフはプロフェッショナルとしての自覚は必要です。しかし、例えばある組織では経営層への疑問が蓄積し、スタッフがプロとして育つことを阻害してしまっていました。人に注目すると、将来を見通して、組織としての力を発揮するために何が必要か、そのために経営者が何を大切にすべきか見えてくるはずですが、それがあまりに実践されていない・・・。
SMLを通じて3つの価値の鼎立を大切にする考えとその方法を見出し、広げていきたいと考えています。
次回以降、近況を交えながら、経済的価値に加えて、従業員の幸福価値にどう注目していくべきかも、議論していきたいと思います。