【ブログ】潜水で一番長く潜っていられる力~松崎英吾
~制度設計が甘い蜜に見える時~
このSMLという組織は、もともとは共同創業者同士の勉強会からスタートしました。それぞれが、社会的ミッションの追求に強い性質を持つ組織に所属し、組織の規模として5名〜30名のフェーズで直面する課題について、ゲスト講師を招きながらみずからの考えの整理や実践のための議論をしてきました。
私が舵を握る日本ブラインドサッカー協会も、働く人が増え始め、諸般の制度設計や整備が求められている時期でもありました。人事制度や評価制度などを検討しているそんな時期にゲスト講師としていらしてくださったのが、株式会社BOLBOPで事業構想大学院大学でも教鞭をとられている酒井穣さんでした。
~酒井穣さんが言った「決着をつけるな」~
諸制度の導入を検討するからには、組織内部にも課題が生まれている状態です。組織制度の課題であれば、当然、人材の問題が中心にあり、それは経営者として苦しいものも含まれます。横目で積極的に制度導入をしていく他組織を見ていると、それがまばゆい解決策に見えていた時期でもあったように思います。
そんな時に酒井さんは「知性」について教えてくださいました。
私が解釈し、教訓とした内容は
・知性とは、白か黒か安易に決着をつけないこと。決着をつけることは思考停止である
・決着をつけないと悩ましい。でも、そういう中で人間は行動していける。考えていける
・ギリギリまで考えるのが、マネジメントの責任。決着して考えることを放棄してはいけない
・緊張状態が強いときほど、自分の知性が試されていると思うこと
というものです。
酒井さんとの勉強会を通じて、私は人生で初めて「知性的でありたい」と思ったものでした。
~制度設計によって失われるものもある~
売上第一・経済的規模の純粋追求ではない組織であり、社会的ミッションの実現を求められている組織であればこそ、いっそうこの「知性」が求められることは多いのではないでしょうか?
・経済的価値が事業の判断基準だけでない組織
・有給・無給/常勤・非常勤が混在しがちな組織
・働くもの同士の関係性が、労働の継続性に強く影響を及ぼしがちな組織
制度設計は、対話や「都度考える」ことで解決策を出していくコストが、制度を導入することで効率的になる段階で求められるのだと言います。逆に言うと、制度の導入による反作用との天秤でもあるのです。
酒井さんは「潜水して、一番長く潜っていられるガッツを持てるか」は経営者として大切な能力の一つだとおっしゃっていました。決めないこと、曖昧さを混在させることで、組織に良い影響が発揮できる状態もあるように思います。