【ブログ】卒業~吉山昌
~退職=卒業?~
卒業式のシーズンがやってきました。早いところでは、すでに行われた学校もあるようですね。
社会人になっても、一部の業界では退職のことを卒業と呼んだりします。在職中に経験を積み、成長をして、次のステージに向かっていく。退職ばかりが次のステージではありませんが、前に進む個人に注目した良い考え方だと思います。先日ある方から、「卒業はgraduationではなく、commencement = 始まり というのだ」(北米の大学などでの用語)ということを伺いましたが、同じ視点での表現と言えるでしょう。そのため、今いる組織においても、「卒業」という呼び方を普及させたいと考えています。
しかしながら、現実を直視した時に、私自身の組織においてポジティブな退職をした方がどれだけいただろうか、という問いが立ちはだかります。もちろんどの方も、様々な経験をして、成長をされてはいますが、しかし同時に、自身の人生の貴重な時間をこれ以上ここで費やせない、そういう判断をさせてしまった方もいるように思うのです。
様々な考え方があるでしょうが、少なくとも、前向きに退職をできない状態は、チームが良いパフォーマンスを出せているわけでもなく、組織としても個人としても幸福とは言えないということ。当然に、社会的価値にも悪影響を与えています。そのような状況では、残るスタッフに対しても良い影響とはならないでしょう。それでも「卒業」とは言えるかもしれませんが、もっと前向きなものとするにはどうすべきなのでしょうか。
~前向きな卒業をできる組織とするために~
必要なことは、どのような組織を目指すかによって、違ってはくるでしょう。個人の考え方によっても。良い仕事をできるか。打ち込めるか。成長できるか。そして、それらを妨げることがないか:疲弊をせず、仕事が認められ、仕事以外でも理不尽な辛さがないか。仕事と生活とのバランスを守れるか・・・。その結果、個人として限りある人生の重要な時間が無駄になっていないと思いながらも、次のステージを必要とするまで成長したと思えるか。逆に次のステージを目指さないとすれば、ずっといて良いと思えるか・・・。
組織ごとに具体的な解は異なるとしても、共通して重要となるのは、メンバーと組織のベクトルが一致するべく、事業と個人の目標感がすり合わされ、成長できるための機会が用意されること。そして完全にすり合うことはないからこそ、組織内で考え方の多様性が理解され統合(≠統一)されていること。要は、当たり前の経営を実現しないといけないというだけのことではあるのでしょう。私たちがソーシャルマネジメントと呼んでいる、社会的価値と、経済的価値に加えて、組織の幸福価値を実現することーその結果が、退職を卒業と言えることの、必要条件であるわけです。
退職という時点まで到達すれば、それはもはや結果でしかありません。そして、必要なことは当たり前の経営。しかし、卒業する者も残る者もお互い心から祝えるような組織となることを目指すことが、様々な組織経営課題を考える上で一つの補助線となるように思います。次第に暖かさが増すこの頃、そのようなことを考えておりました。